ASIAL10N 日本語 | 機械翻訳は未来への鍵となるのか
機械翻訳は未来への鍵となるのか
機械翻訳
1652
post-template-default,single,single-post,postid-1652,single-format-standard,hazel-core-1.0.5,ajax_fade,page_not_loaded,,select-child-theme-ver-1.1,select-theme-ver-4.4.1,wpb-js-composer js-comp-ver-6.6.0,vc_non_responsive

機械翻訳は未来への鍵となるのか?

機械翻訳は今や私たちにとって身近な存在となり、そのおかげで世界との距離が縮まりました。中には日常的に利用しているという人もいるかもしれません。機械翻訳は、ビジネスの未来を拓く鍵となるのでしょうか?

日常生活

海外旅行先で外国語を話す地元の人とコミュニケーションを取りたいとき、あなたはどうしますか?昔なら、紙に絵を描いたり身振り手振りで伝えようとしたりして、笑いが起こったり、レストランでおかしな料理が出てきたりしたものです。最近では、カフェのメニュー、製品パッケージ、道路標識、デジタルプラットフォームなど、あらゆる場所で翻訳が必要とされています。

 

旅行の際は、モバイル翻訳アプリを使って携帯電話に向かって話しかければ、携帯のスピーカーから翻訳が再生されます。訳文を読み上げる必要すらありません。これは素晴らしい技術であり、外国人とのコミュニケーションを以前よりもずっと楽にしてくれます。

 

モバイル翻訳アプリの例

機械翻訳がよく使われるもうひとつの一般的な例として、海外ショッピングサイトの利用が挙げられます。多言語ウェブサイトの中には元の言語のコンテンツを機械翻訳ツールで訳しているもの (人間による作業なし) もあれば、プロの翻訳者や翻訳会社がローカライゼーションを行っているものもあります。中には翻訳されていないウェブサイトもありますが、利用者はウェブブラウザに組み込まれている翻訳ツールを使ってウェブページを翻訳することができます (以下の画像参照)。こうした選択肢があることで、利用者は製品やサービスについて詳しく知ることができ、あやふやな推測をせずとも、自分が本当に買いたいものを確実に選ぶことができるのです。

ウェブブラウザの機械翻訳ツールの例

企業にとっての機械翻訳

しかし、ビジネスで機械翻訳に頼ることはできるのでしょうか?ここまでご紹介したような場面では、たとえ誤訳やミスコミュニケーションがあっても、必ずしも深刻な被害が生じることはありません。こうしたツールは基本的なニーズを満たすものであり、気軽に利用することができます。しかし、企業や製品、サービスの説明となると、万全を期す必要があります。もし情報が誤って訳されていたら、企業イメージが大きく損なわれることもあり得ます。たったひとつの翻訳ミスによって、プロ意識、誠実性、信頼性に欠ける企業だという印象を与えることにもなりかねません。日本で実際に起こった次の例をご覧ください。

 

大阪メトロが英語版ウェブサイトを閉鎖

 

今年 (2019 年)、大阪メトロは自社の英語版ウェブサイトに誤った英訳があるという理由でその英語版ウェブサイトを閉鎖しました。東京オリンピックを 2020 年に控え、今後さらに多くの外国人旅行者が日本を訪れることが予想されるため、日本の公的機関は英語をはじめとする外国語によるサービス提供を開始しています。

 

このケースでは、大阪メトロは自社ウェブサイトの翻訳に Microsoft の翻訳プログラムを使用しました。例えば、「3 両目」が「Three eyes」(3 つの目)、「天下茶屋」という駅名が「World Teahouse」(世界の茶屋)、「堺筋線」が「Sakai Muscle Line」(堺筋肉線) と訳されていました。このニュースが報道され、おかしな翻訳の写真が Twitter 上に多く投稿されました。

 

 

人による翻訳

 

一部のアジア言語と同様に、日本語ではローマ字言語 (英語など) とはまったく異なる文字を使います。文字、宗教、社会、文化、政治的なニュアンスや繊細な表現の違いを考えると、英語・日本語間の翻訳は決して簡単な作業ではありません。これは、ネイティブスピーカーである翻訳者だからこそ解決できることなのです。プロの翻訳者の専門知識と確かなスキルによって、効果的なコミュニケーションとプロフェッショナルなイメージの反映に違いが生まれます。プロの翻訳者は、今の時代に合ったニュアンスを的確な言葉で表現し、重要なメッセージを読み手の心に響く表現で伝えることができます。

 

 

未来の機械翻訳

 

大企業では、例えば製品を予定通りに発売するなど、物事をスムーズに進めるために数百万語もの翻訳が必要になることがあります。こうした企業は今、ニューラル機械翻訳の可能性を模索しています。これは、人による翻訳を機械に学ばせ、テクノロジーに取り込んでいくという手法です。

 

しかし、このニューラル機械翻訳は、特にアジア言語のように文章の構造がヨーロッパ言語とはまったく異なり、文脈に応じて表現の仕方が大きく変化する言語では、まだ発展途上にあります。性別の違いですら翻訳に影響を与えます。今後、機械がこうした複雑さに対応し、言語のニュアンスや繊細さをとらえられるようになるのかが注目されます。

 

ビジネスの分野で言えば、機械翻訳は人間の翻訳者よりもずっと早く仕事を終わらせることができます。しかし、その翻訳にミスがあると、ビジネス上のリスクを招きかねません。最良の結果を得るためには、機械翻訳と人による翻訳を組み合わせて活用することが重要です。機械翻訳は翻訳作業のスピードを上げるという意味で人による翻訳作業を支援してくれます。その一方で、翻訳者の技能はローカライゼーション全体の完成度を高めていきます。

 

機械翻訳は現在進行形で進化を続けており、今のところ便利なツールとして大いに活用されています。機械翻訳は、私たちの将来の暮らしや仕事にどのような影響を及ぼすことになるのか、楽しみなツールでもあります。